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オステオパシーの基礎理論

A.T.スティル博士が発見したオステオパシーにおける主要な4つの原則

1. 身体は一つの単位(ユニット)である。一人の人間とは、身体、心、及び精神の単位である。
個々の人間は人間として身体・心・精神が一体となって表現されている。解剖学的システム・生理学的システム・心理社会的システムが幾重にも関与し合う相互依存性機能を通して、個人は調節され、調整され、統合されている。
解剖学的に全ての身体構造は結合組織、あるいは筋膜によって包まれており、そのため各構造は接触し合い、力学的に相互依存し合っている。
さらに神経・内分泌・免疫・筋骨格系は、統合された一つの単位として内外の環境及び出来事に対して相互に作用し合い、反射を起こし反応することが知られている。
2. 身体は自己調節、自己治療、健康維持能力を持つ。
健康維持機能について、スティル博士は「人の身体の内部には健康を維持する能力がある。もしこの能力を正しく認識し、正常に保つことができれば、病気を予防することも治療することも可能である。」と述べている。
人間という生物は生まれつき自己調節能力を持っている。最適条件では、身体・心・精神はでき得る限り健康を維持し、治療するように働くのである。
3. 構造と機能は相互に関与し合っている。
スティル博士は当時、ほかの人がまだ考えつきもしないうちから、様々な状況における構造と機能の変化に気がついていた。「解剖学的異常とそれに引き続いて起こる生理学的不調和の結果病気が起こる。」と説いている。
一つの領域が障害されたり、あるいはそこに不均衡が生じると、その生物全体の構造及び機能が変化するのである。
4. 合理的な治療は身体の調和、自己調節、及び構造と機能の相互関係の基礎的原理に基づいている。
我々が病気と判断しているものは、名前のある疫学的病原体が人体に侵入することを指しているのではなく、むしろ身体の健康維持能力が崩れることである。
スティル博士が繰り返し指導しているように、病気とは機能的な異常とそれに続く生理的機能のの不調和の結果であって、その原因ではないのである。
人間の身体の全ての部分が秩序正しく機能しているとき、我々の身体は完全に健康体である。そうでないとき結果として起こるのが病気である。悪い部分を再調整すれば、病気は健康に道を譲る。
このようにオステオパシーとは、一人の人間を身体・心・精神から成る統一体として捉え、統一体としての患者がどのようにして健康から逸脱してしまったのか、そしてその結果どのようにして病気になったのかを考えるのである。
オステオパシー哲学、そして解剖学、生理学の知識をもとに考え、そして病を起こしている生命体の構造からの哲学的な問いに答えるべく患者を診察し、異常な部位を調整、及び矯正することによって人体が調和して働くことを目的とした療法である。